受診愁訴Best5 & ひとこと

 

腰 痛

痛みを理由に受診された方の中では、ギックリ腰など「急に発症した腰痛」で来院される方が最も多くいらっしゃいます。

急に発症したといっても、その中には慢性的に腰に疲労感や少々の痛みなどを根に抱えている方も多く、原因として

「長時間の座位での仕事」や「ほとんど移動しない(同じ場所で作業するような)立ち仕事」などによる姿勢の不良・腰への負担などからくるものが数多くを占めています。

「朝起き上がるとき」「座っている姿勢から立ち上がるときに痛くて、腰をまっすぐに伸ばせない、

咳やくしゃみをすると腰や背中に痛みが響いて怖い」

仰向けで寝ていると痛みが増してくる」

など、「どこが痛いか」だけでなく、

どのような時に症状が出てくるか

を詳細に問診し、必要に応じて理学的な検査を行い、症状を起こす原因部位を判断し施術を行っていきます。

目立って感じられるのは重要な土台となる骨盤周辺に問題を抱えている方の割合が多いということです。

原因の一つに「立ち方」があります。
人には「軸足」と「利き足」があって立ち方(体重のかけ方)に左右差が出ている方が見受けられます。

その左右差が極端に大きいと骨盤周囲の関節や筋肉などに過度な負担がかかり筋肉が引っ張られ、歪みの元になります。

また、坐業時間が長い方の多くは、作業中無意識に背中を丸めてしまう姿勢(いわゆる猫背)になりがちで、骨盤が後傾してしまうことによって、骨盤に付着するいくつもの筋にかなりの負担をかけてしまうために起こる腰痛も目立ちます。

当院で対象とすることが多い部位は、仙腸関節周囲、お尻の筋(大殿筋・中殿筋・小殿筋)、股関節周囲腸腰筋(大腰筋+小腰筋+腸骨筋)などです。

ちなみに強い力や無理な負担をかけるような危険を伴う施術テクニックは当院では一切行いません

※仙腸関節の動きはほんの数ミリ単位ですが、この動きがあることで建物の免震構造のような働きを持ち、腰にかかる物理的負荷を分散してくれています。この動きを「アソビ」といいますが、このアソビを回復させることも腰痛改善の大きなポイントです。

腰痛に限らずですが、ご自身が「痛い」と感じる部位が必ずしも発生原因の部位とは限りません。
他に大元の原因があり、そこからくる関連痛として遠く離れた部位に症状を自覚することも多々あります。

ここを見逃したり聞き逃したりしないよう時間をかけて細かい問診をすることがありますのでご協力をお願いいたします。

日常生活での姿勢の意識やからだの使い方のアドバイスも行ってまいります。

 膝の痛み

以前は膝の痛みには鍼灸のみで対応することがほとんどだったため、「どうしても鍼は怖くて」と言われる方に敬遠されてしまうことがありました。

最近は手技による施術も行うようになったため、膝痛が主訴の方の受診率も増えてきました。

膝も、腰と同様に他からの影響で関節や筋に負担がかかっているために痛みを起こしている場合があります。
足関節(足首)や股関節、骨盤の傾きなども影響している場合があるので、必要に応じて加療していくことになります。

「関節の隙間が狭くなっている」

「軟骨がすり減ってしまったために起こっている」

といわれた膝痛でも、隠れた原因部を探し出し、手技の施術で改善していくことがありますので是非ご相談ください。

※熱感・発赤・腫脹(腫れ)などが著しい場合は、先に整形外科での受診をお勧めすることがあります。

 

 肩の痛み、腕があがらない
肩関節周囲炎 特発性凍結肩
※五十肩 四十肩など

五十肩や四十肩などで関節が固まって動きの制限を起こしてしまっている場合でも、多くの場合改善が見込めます。

ホンモノの五十肩の場合、その改善には1年~1年半くらい要するといわれますが、鍼灸や徒手施術を加えていくことによって、大幅な期間短縮につながることを多く経験します。

動きの制限が多方向に及んでいるときは、肩関節を構成する複数の筋の短縮を起こしている可能性があるので、すべてを解いていくのに時間を要する場合もありますが、1~2方向制限であれば単数回の施術で改善することがあります。

肩痛発症からの経過が長かったり、

「腕を肩より上にあげる動作を行うことが少ない」

など、日常動作のあり方から「肩甲骨の動き」が悪くなっている方をよく見受けます。この場合肩甲骨の動きを良くする治療も併行して行われます。

鍼灸院に来院される五十肩の患者さんの多くは関節の動きが固まってしまう慢性期に入った方が多いのですが、以前鍼灸院で不調を治してもらった経験のある方だと、急性期の早い段階で来院される方がいらっしゃいます。

「じっとしてても痛い(自発痛)」

「夜も痛くて眠れない(夜間痛)」

のときは、炎症が強く、火事で表現するならこれからもっと燃え盛ろうとする「炎症の拡大時期」にあることもあります。

このような場合だと、短期少数回での改善はむずかしいと言わざるを得ません。

ではこの時期では何もすることがないのかというとそうではありません。火事を鎮火させるには根気よく持続放水が必要なように、
炎症を抑えるための治療を根気よく行っていく必要があります。

慢性期(拘縮期)に入った五十肩で、痛みが「炎症」によるものでなく「筋腱の短縮」によるものである場合は(可動制限の状態にもよりますが)効果の現れを早めに感じ取ることができることがあります。

あきらめないで根気よく治療すればほとんどの場合大幅な期間短縮が可能だと感じます。

ただし、受診時激烈な痛みを訴える場合、石灰沈着による腱板炎ということもあり、これが疑われる場合はステロイドの注射などが有効なので早急に医師をご紹介いたします。

また、希に「腱板」という肩を構成する部分が断裂を起こしていることがあります。こうなると鍼灸院での施術の範囲ではないので紹介状をお渡しし、医師の診察をお勧めすることになります。

いずれにしても詳しい問診や動作分析により、対象とする筋や腱を見極めて方針を決定し施術してまいります。

 頚肩こり

腰痛と同じく大変訴えの多い症状です。やはり日常の姿勢が症状の出現に大きく関わっており、姿勢をマメに意識することで大幅な改善がみられることもよくあります。

「ストレートネック」や「猫背」は、日頃の「姿勢」を注意することで改善できる余地があります。

施術は、個々の要因を探り、表層の筋の凝りをほぐし緩めるだけでなく、必要と思われる関節などを動かしながら深層筋の緊張を解いていきます。深層筋を緩めるストレッチ法をを用いることもあります

頭痛、頭重、ぐるぐる・ふわふわめまいもこれらの治療で改善することもあります。

※仙腸関節のロッキングが頚肩こりの要因になっていることがあります。

仙腸関節の可動性が保たれていないと物理的負荷が分散されず、脊柱の上部である頚部にも負担をかけてしまうからです。

免震構造のない高層ビルが地震にあったとき、最高層階の揺れがどうなるかを想像するとわかりやすいかもしれません。

このような場合も想定してチェックし、必要に応じて仙腸関節の調整も加えていくことがあります。

 

 手・指先のシビレ

頚椎や首周りの筋肉由来であることが多く、頚椎椎間板のヘルニアや頚椎の変形、神経の通り道である胸郭出口における絞扼によって出現することがあります。

その他に「手根管」と言われる部分や「肘部管」に原因がある場合など、いろいろな原因で現れるものなので詳細な問診が必要ですが、経験上では頚椎由来といってもヘルニアによる直接的な圧迫によるものでなく、頚椎の神経根付近の循環障害や側頚部周囲の筋の過緊張よって神経を刺激し、シビレを起こしていることが多いように思います。

これは鍼灸を併用して施術した方が効果が高いように感じています。刺鍼の痛みはできるだけ感じないよう最小限に抑えるよう工夫しますのでご安心ください。

以上、痛みに関する受診理由の多いものを挙げてみました。

 

最近の傾向として挙げたいのは

ひとつは不妊治療のため不妊専門クリニックに通院している方が、「鍼灸治療による不妊施術を併用したい」と希望する方が増え、問い合わせ数や受診数が多くなっていること。
※不妊治療に関しては「不妊治療支援制度」・「不妊治療について」をご参照ください。

もう一つは、鍼灸やマッサージ・身体均整(整体)を「定期検診的」に受けることで、体調・健康の維持管理をしていく方が増えてきたことです。

具体的には「2~3週間に1回とか、月に1回、からだを楽にしておくと心や気分も軽くなるから」という理由で受診される方が増えました。

実は施術者として、これはとても嬉しいことなんです。

皆さんが自分のからだに積極的に気を配るようになられたこと、そのお手伝いとしてここを選んでいただいたこと、ありがたく本当に嬉しく思います。

鍼灸でも、整体でも、ご期待に添えるよう精一杯真剣に取り組ませていただきます。

どうぞよろしくお願いいたします。